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アリさんマークの引越社(引越社関西)に対する残業代請求 (3/5)

◆許し難い賃金体系

(1)理解できない賃金額

しかし、Xさんの話を聞いていると、引越社関西は多額の残業代不払いをしている可能性がありました。そこで、Xさんの給与明細を分析してみたのですが、月給制なのに基本給が1円単位で毎月異なっており、給与明細から給与体系を理解することができない状態でした。そこで、訴訟になってから、繰り返し追求した結果、驚くべき事実が明らかになっていきました。

(2)異動により勝手に賃金額を変更

Xさんは前述のように支店、本部、支店と転勤しましたが、その度に賃金額が改定され、本部の賃金額が比較的高いため、本部から支店に転勤したときは一方的に賃金額が減らされました。地域手当ではなく基本給自体が一方的に減額される異常なものでした。

(3)業績に連動させて一方的な賃金減額

Xさんの賃金が毎月1円単位で変動してとらえどころが無い理由は、引越社関西が恒常的に賃金の一方的なカットを行っていたからでした。毎月のように、「利益が厳しい」「売上が悪化」などとして2.5%から最大12%もの賃金カットを行っていました。しかも、賃金カットは通勤手当を含めた賃金総額からカット率を計算し、その全額を基本給からカットする(従って賃金単価自体が下落する)という信じがたいものでした。

(4)固定残業代

そして、引越社関西では、労働者募集の広告にはそれなりの賃金額を提示する一方、入社時に「採用・諸手当の取り決め」と題したA4一枚の紙に署名押印させ、その中に細かい文字で、広告で提示した賃金を基本給部分と固定残業代部分に割り振る旨記載していました。この書面は労働者に交付すらされず、労働者は気付かない間に募集時の賃金から大幅に減額された賃金で働かされることになります。そして、この固定残業代の引当額が計算上は47時間から77時間分にもなるものでしたが、会社側の計算でそれ以上の残業がある場合でも、別途の残業代は一切支払われておらず、固定残業代としての実態を欠く違法・無効な手当でした。

(5)天引きの数々

また、引越社関西は「弁済金」の名目で、毎月Xさんの賃金から数千円から多い月では3万円以上の控除を行っていました。これはXさんが引越の依頼主の荷物や建物のフローリング、壁紙等を傷つけてしまったとされる場合に天引きしていたもので、前述した賠償金と同様根拠がない上、証拠もなく、さらに賃金から罰金等を天引きすることを禁止している労働基準法24条に完全に違反するものでした。