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「研修生」扱いをされていて残業代等が全く支払われなかった、とある若者の事件(いわゆる「労働者」性が問題となった事件)

1 不合理な「研修生」制度

20代の男性Aさんは、電気屋で働きたいと思い、大手電機会社B社の面接を受けました。すると、B社は、B社をフランチャイズとして家庭用電気製品の小売業を営む有限会社C社をAさんに紹介し、AさんはC社にて勤務することとなりました。また、A、B、Cは「電器開業者研修及び開業契約書」という書面を交わし、形式上はAさんは「研修生」ということになりました。

AさんはC社の店長の指示を受けて1日8時間を超過する長時間勤務を行うこととなりました。しかし、B社やC社は、Aさんを「研修生」と位置付けて、1年目は給料を月10万円程度しか支払いませんでした(最低賃金以下)。また、2年目になって給料を約15万円としましたが、Aさんがどれだけ長時間働いても残業代は一切支払われなかったのです。なお、会社がAさんの労働時間を具体的に管理することもありませんでした。

 

2 裁判所は「労働者」性を認めて、残業代の支払いを命じたこと

ある時、Aさんは、この「研修生」制度はおかしいと思い、残業代等の請求を行いました。しかし、会社からは残業代を全く支払ってもらえず、さらには自宅待機を命じられて働けなくなったために、やむをえずAさんは弁護士に依頼して大阪地裁に提訴しました。

この点、裁判所は、Aさんが契約書等で形式的には「研修生」と扱われていたとしても、その労働実態からすると「労働者」性が認められると判断しました。つまり、労働基準法の適用があるため、Aさんに最低賃金や残業代が支払われるべきである旨を裁判所は認めたのです。

さらに、Aさんの労働時間を具体的に算出出来るものは、Aさんが残していた手書きメモのみでしたが、裁判所はこの手書きメモ記載の労働時間のうちの一部を認めて、残業代等の支払いを命じました。

 

3 制度に疑問を感じたら、すぐに専門機関に相談すべきであること

昨今、いわゆるブラック企業と言われる会社では、若者を低賃金で雇入れて長時間労働を強いる事案が多発しているところです。本件もその種の事案でした。

しかし、形式上「研修生」等との扱いがされていても、直ちに残業代を支払わなくてもよいということにはなりません。実質的に「労働者」性がある事案であれば、労働基準法等の適用があります。

同じような境遇にある方で、制度に疑問を持たれた方は、一度、労働基準監督署や弁護士事務所等の専門機関に相談に行かれることをお勧め致します。