京都第一の強みと実績
警備会社のセキュリティシステムの記録から残業代を算出し、支払わせた事案 (2/3)
- 担当弁護士
- 大河原 壽貴
◆タイムカードが破棄されていた
問題となったのは、Aさんが午後6時以降も残って残業していた分の残業代でした。Aさんの会社ではタイムカードを使っていたことから、裁判所による証拠保全の手続を用いてタイムカードの写しを入手しようとしました。そして、裁判官らとともに会社に行って、社長にタイムカードを提出するよう求めたところ、社長は「タイムカードは1か月たったらすべて処分しています」と回答してきました。労働基準法109条では「賃金その他労働関係に関する重要な書類」は3年間保存しなければならないと定めており、厚生労働省もタイムカードがこれにあたることを通達で定めています。
社長がタイムカードを処分した行為は、明確な労働基準法違反なのですが、タイムカードがなければAさんの残業時間が把握できません。Aさん自身が自分の勤務時間を記録していると言うこともありませんでした。