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タクシー運転手の残業代請求 ぞうさんマークでおなじみのタクシー会社を提訴しました

1 タクシー業界に横行する給与未払い

 タクシーの町、京都。各社、工夫を凝らした行燈を照らしながら、タクシーを走らせていますが、ぞうさんの描かれた行燈を見たことがありますか?山科に本社を置く洛東グループ(洛東タクシー株式会社及びホテルハイヤー株式会社)のタクシーです。

 洛東グループの給与体系は、一定の営業収入を得た者に一律支払われる基本給と、営業収入に比例して金額が決まる歩合給が柱となっています。つまり、運転手の皆さんは、一定の営業収入を得られなければ、歩合給はもちろん、基本給すら満足にもらえません。ですから、長時間労働に身を投じがちなのが実態です。

 では、長時間労働の結果、残業が発生した場合、残業代が支払われているのかというと、洛東グループの手当の中に「残業代」という名称の手当はありません。運転手の皆さんも、「残業代というのは、全額固定給で働く人たちに支払われるものだ」「歩合給メインで働く自分たちには関係がないものなのだ」と思い込んでいました。

 実は、このような給与体系を採用しているのは、洛東グループだけではありません。多くのタクシー会社が同様の給与体系を採用し、「歩合給の中に残業代が含まれている」と主張して、残業代を支払っていません。

 

2 立ち上がった労働組合

 一般消費者がタクシーの利用を控えるようになっている今、歩合給を主とした給与では、タクシー運転手の生活は立ち行かない。洛東グループ労働組合は立ち上がり、普通に働けば普通に暮らせる賃金体系を求め、会社との交渉を開始しました。しかし、会社は取り合おうとしませんでした。そこで、労働組合の方々が当事務所に相談に来られました。
 残業代は、月給固定制の会社員にだけ支払われるものだと考えている方が多いですが、そうではありません。歩合給制で働く労働者にも、残業代は支給されなければなりません。労働組合は、団体交渉で残業代の支払いを申し入れました。社長は、いったんは「支払う」と回答しましたが、後日、「歩合給に残業代が含まれている」というタクシー業界お決まりの反論とともに、前言を翻しました。

 しかし、これまでの裁判例によれば、いわゆる「固定残業代」として法的に有効であると認められるためには、何時間分の時間外労働に対する残業代を定額で支払うのかということを明確にしたうえで、その支払方法をとることにつき労使で合意しなければなりませんし、定額での支払いが予定された時間外労働を超えて残業が行われた場合には追加支給されるという清算実態がなければなりません。

 本件において、労働組合はもちろん個別労働者が、会社から「歩合給の中に●●時間分の残業代が含まれている」という説明を受けたことはありません。当然、会社と労働組合、個別労働者との間に、残業代を定額で支払う旨の合意も有り得ません。そこで、労働組合が旗を振り、残業代請求を行うことにしました。

洛東タクシー1

 

3 組合に対するあの手この手の嫌がらせ

 当職らを代理人として残業代請求の通知を送付しましたが、会社は一切応じないという姿勢でしたので、やむなく提訴することを決めました。

  すると、会社は残業代請求の通知に名を連ねる組合員らに個別に接触し、配置転換や定年後の再雇用拒否、雇止め等を示唆して、残業代請求をやめるよう働きかけました。また、残業代請求をした組合員に対してのみ、残業禁止命令を出したうえ、終業時刻1時間前に無線配車を停止し、定時入庫を執拗にアナウンスしました。営業収入に大打撃です。さらには、組合役員の残業代請求金額を会社の掲示板に見せしめの如く掲示しました。これらは組合員だけを標的にした不利益取扱いであり、組合弱体化を意図した支配介入です。

 そこで、去る2017年12月8日、組合員26人で残業代請求訴訟を京都地裁に提起するとともに、京都府労働委員会に不当労働行為の救済命令申立を行いました。もっとも、会社からの嫌がらせにより、残業代請求者の数は、提訴時点で半数にまで減少していました。さらに、会社は訴状記載の残業代請求者一覧を会社の掲示板に貼り出したほか、従前実施されてきたチェックオフを一方的に廃止し、他組合とのみ団体交渉を実施して労働条件を決定する等、組合敵視の嫌がらせを次々とおこなってきています。これらについても、労働委員会での救済命令を求めていく予定です。

 

4 労働者の権利を守る闘いが始まります

 残業代請求権は、労働者の当然の権利です。その権利行使を、不当労働行為をもって抑制しようとする会社の対応は、厳しく非難されなければなりません。労働者の権利を守る闘い、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

洛東タクシー2

 

 

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