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アリさんマークの引越社(引越社関西)に対する残業代請求 (2/5)

◆事故の賠償金を社内貯金から相殺し借用書まで!

Xさんは過労の末退職時期の直前にトラック運転中に交通事故を引き起こしました。しかし、会社は自社のトラックについて「100万円以下は免責」の車両保険に加入して保険料を安く抑えており、100万円以下の賠償金をそのまま労働者に請求しているようでした。また、引越社関西は就業規則も備えた上で(但し不備あり)社内貯金制度を設けており、Xさんも数十万円の社内貯金をしていましたが、会社はXさんを退職に追い込んだ上、社内貯金を(会社が主張する)Xさんが支払うべき賠償金と相殺しました。引越社関西では事実上、労働者の社内貯金が車両保険の免責額を補う担保として機能しているのです。

Xさんの場合、会社の主張する損害賠償金がさらに多額であったため、Xさんとの間で総額155万円の借用書まで作成し、さらに関係ないXさんのお父さんまで連帯保証人にしました。

Xさんが最初に相談に見えたのは、この借用書をどうにかしたい、と考えたからです。使用者が労働者の業務上の過失により発生した損害を賠償した後、その額を労働者に請求することを「求償」と言いますが、事業を行う以上一定の割合で事故が起こるのは避けられず、それは事業者=使用者がリスクを負担するべきものとされます。従って使用者の労働者に対する求償は厳しく制限されており、数%から多い場合でも数十%しか認められないのが通常です。まして、引越社関西はわざわざ保険会社の免責額が大きい保険に加入して、自らが負担すべきリスクを回避するための経費を浮かせていたのですから、Xさんに対して大きい割合での求償が認められるはずはありません。

そこで、この借用書の無効(債務不存在確認請求)を求める訴訟を提起したのがこの事件の最初でした。